【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」同と等の区別を論破した後では、質点を物体と考えるよりは、各時空点の状態と考えた方が自然だろう。代数学においてxやyの表す位置←→時空点,xやyの位置に書き込まれる数←→質点,というアナロジーに着目すると分かり易い。この点でT12,T14,T15よりも、場形式のT22,T24,T25の方が自然な理論だと言える。しかし、T22,T24,T25の運動方程式は、T12,T14,T15の運動方程式よりも不自然な形をしている。前者は後者を使って定義されるからだ。質点に個性を認めるか否かという問題と、同と等の区別とは、論理的には一応無関係だ。そのことは、T02,T04,T05によく現れている。これらの理論では、質点を固有名詞で呼び、それでいて、一つの質点が同時に複数の位置に実在することが許容されている。T02,T04,T05のMは一対一写像だ。T2,T4,T5には欠点がある。その一つは、P1とP2が異なり、それらが衝突する場合に、ある時空点にP1とP2の両方ともが実在する、という言い方をすることだ。これは、矛盾とまでは言えないにしても、質点を時空点の状態と見る見方にそぐわない。因みに量子力学では、パウリの排他原理によって、二つ以上の質点が同時に一つの位置を占めることは、文法レベルで(LではなくHやFのレベルで)禁止されている。T02,T04,T05においても、異なる二つの質点の両方ともが、ある一つの時空点に実在するという言い方を含む文がHの中にあり、このことはT02,T04,T05の欠点だが、これらの理論では、P1とP2が衝突する事を表す文では必ず、衝突の起こる時空点にP1とP2の両方ともが実在することになっているというわけではなく、P1とP2が衝突し、衝突の起こる時空点にはP1,・・・,Pnのうちのどれか一つが実在することを表す部分を含む文もHの中にある。この点でT2,T4,T5よりもT02,T04,T05の方が優れている。また、T02,T04,T05では、例えば、P1とP2が衝突し、P3とP4とP5に分かれることを表す部分を含む文がHの中にあるが、T2,T4,T5のHの中にはそのような文がない。T2,T4,T5のHの中の、P1とP2が衝突する事を表す部分を含む文では必ず、衝突後に衝突点から飛び去る粒子もP1とP2だとされている。T02,T04,T05に比べて
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