【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」空欄に入れる語が不適切ならば、トンチンカンな文が出来る。q(3,6)はその良い例だ。「太郎君は店で[x]と[y]を購入して帰宅し、[x]に[y]をかけて食べました」を「太郎君は店でxとyを購入して帰宅し、xにyをかけて食べました」と書いても、混乱は起きないだろう。このような、名付けられた空欄を持つ未完成の文を、文字式と呼ぶ。xやyだけでなく「太」や「郎」も文字なのに、xやyだけが文字ででもあるかのような変な名称だが、慣習に従っておく。文字式という語は、普通は数式に対して用いられる。これを名付けた人は、数字でないということを文字という語で表現したかったのだろう。しかし、数字は文字でないのかというと、皮肉なことに数字も文字なのだ。ともかく、本書では数式以外についても文字式を用いることにする。文字式の空欄への書き入れを代入と呼ぶ。文字式の空欄に付ける名前としては、以下の文字を用いる。@ラテン文字abcdefghijklmnpqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNPQRSTUVWXYZAギリシャ文字α(アルファ)β(ベータ)γ(ガンマ)δ(デルタ)ε(イプシロン)ζ(ゼータ)η(イータ)θ(テータ)ι(イオタ)κ(カッパ)λ(ラムダ)μ(ミュー)ν(ニュー)ξ(グザイ)π(パイ)ρ(ロー)σ(シグマ)τ(タウ)φ(ファイ)χ(カイ)ψ(プサイ)ω(オメガ)Γ(ガンマ)Δ(デルタ)Θ(テータ)Λ(ラムダ)Ξ(グザイ)Π(パイ)Σ(シグマ)Φ(ファイ)Ψ(プサイ)Ω(オメガ)ラテン文字、ギリシャ文字ともに、前半が小文字、後半が大文字だ。この他にも、書物によってはヘブライ文字を用いたりすることがあるし、特に、この文字を用いなくてはいけない、という決まりがあるわけではない。本書ではTという文字を勝手に作って用いた。しかし、ラテン文字の中でもo(オウ;小文字)とO(オウ;大文字)は、0(ゼロ)と間違えられ易いので、普通は用いられない。またギリシャ文字の中でも、ラテン文字に酷似しているものは用いられない。 |