【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」,理論は検証され得る何事かを含んでいるか)を、マッハよりもっと現代的に、かつもっと徹底的に書いた本という側面(第四章)もあります。これは評論部分です。マッハの主張を繰り返すのではなく、彼の主張の欠点(§4-1)や、反対意見との妥協点は何処か(§4-5-2)まで書きました。これとは別に、報告書部分(§2-1-2§3-1-1)の書式をマッハのアイデアに従って設計し、これをマッハ模型(§2-1-1)と名付けた点でも、マッハの影響を受けています。本書には特殊相対性理論のローレンツ収縮などの説明(§4-5-4)もありますよ。他書を見て分からなかった人、この本を読めば分かります。これはオマケの様なものですが、全体の説明の流れを崩さず、このようなものも自然に組み入れました。お楽しみ。報告書部分について言えば、本書では、各理論が如何なる実験結果や観測結果によって支持・棄却されているかには触れません。だから、本書は実験物理学の書ではなく理論物理学の書です。本書では、歴史的順序に従ってではなく論理的順序に従って記述します。だから本書は科学史の本ではありません。本書では、剛体・弾性体の力学や熱力学や誘電体・磁性体・導体の電磁気学といった、現象論を扱いません。本書は現象論の書ではなく要素過程の理論の書です。本書では、解析力学や微分形式(物理学の幾何学化)などの再定式化の問題を扱いません。本書の関心は、物理理論に不可避的に現れる特徴と、そのことから来る物理理論の限界、に向けられます。前者は一般的に、後者は具体的にという方針にまとまります。限界を調べる事は基礎付けの問題を考える事だから、そのためには基礎に立ち返った書き方を取らねばなりません。これがなぜ具体的にという方針につながるかについては§1-5を見て下さい。再定式化は一般性・具体性を損なうから、本書ではこれを扱いません。個々の理論については、再定式化によって初めて、その理論の本質的特徴が浮き彫りにされる事が少なくないわけですが、特定の理論に限らず、おおよそ考え得る全ての理論に共通の特徴は何かということになると、再定式化によって帰ってその特徴がボヤけたりします。また、理論ごとに再定式化の方法は異なります。また、大抵の再定式化は抽象化の傾向を持っています。§2-1-1末参照。本書でも§2-2-2では一種の再定式化を行なっていますが、これは一般性や具体性を犠牲にするものではありません。本書では統計力学などの応用理論を扱いません。本書は応用の書ではなく基礎の書です。エネルギーの様な抽象概念は、それがいくら物理学の代表的概念であっても、最基礎概念ではないので本書では扱い |