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p16 宇田雄一「古典物理学」
このページの上端へ行く ホーム 前のページ 次のページ 宇田雄一について
【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」性の著しさにおいて本書は新しい、と自負しています。最後に、本書の特徴として学際性を挙げておきたいと思います。本書は、物理学だけの本でも哲学だけの本でもありません。物理学と哲学にまたがる学際的な本です。物理学絡みの哲学書や哲学絡みの物理学書は、今までにたくさん出版されています。本書の新しさは、哲学の本としては、物理学の実際を極度に詳細に引用する点にあり、物理学の本としては、物理学の結果を哲学の問題にほぼ完全に従属させる点にあります。哲学は具体例を軽視せず具体例から学ぶ姿勢を保つべきだ、と私は思います。哲学者の講釈が冴えない時、その人が極めて貧弱な具体例を用いていることに気付く事しばしばです。哲学を鍛える最高の具体例の一つが物理学だという事は、誰もが認めるところでしょう。貧弱な具体例でおぼろげながら考えていた時には気付かなかった問題が、物理学について具体的に徹底して哲学的興味を追求して行けば、シャープに現れて来ます。例えば、本質的可能と表現上の可能の区別§4-2、同と等の区別§2-2-3、時空の同一性§3-2-1、相対的関係という語の含み§3-1-9、因果律・原因の定義§2-1-6、これらがそうです。悪く言えば馬鹿正直とかクソ真面目と言われ兼ねない徹底が、なぜ大事かはここにあります。アイデアとしては論理実証主義の従来のプログラムの域をほとんど出るものではないかもしれませんが、実行の徹底に於いて本書は新しいと思います。哲学が具体例を軽視できないのと同時に、物理学は哲学を荒唐無稽だとして軽視せず、物理学の結果を答えに持つ問を、哲学の中に見付けるよう努めるべきです。物理学の堅牢精緻な結果も、哲学に役立てねば宝の持ち腐れです。もちろん、物理学は工業技術の基礎でもありますが、物理学の最も本来的な存在意義は何かという事になると、私は、哲学の手段になる事だと思っています。-以上が全体的特徴や執筆方針です。既存の本があればこんな本は必要ない、という意見に対する反論は、このぐらいにします。本書の細部を取り上げて、何処にでも書いてある事ではないか、と批判する者があれば、その人には、塵から人間を作る事を創造行為の最高の形だとする意見もあることを思い出して欲しいと思います。他者の意見を自分の言葉で言い換えただけ、という評価の仕方も、本書を矮小化するものである事がお分かり頂けたと思います。
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