【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」まず、太郎と花子が全く同じ特徴を持つ宝石を一つずつ所有しており、ある日二人がそれを同じ部屋に持って来て、一緒に一つの机の上に宝石を置き、その後でそこから各自一つずつ宝石を取り直す場合を考えてみよう。下図のような二つの歴史が考えられる。歴史H1,机,状態A,太郎,花子,状態B1,歴史H2,机,状態A,太郎,花子,状態B2,状態B1においては、太郎も花子も、今自分が持っている宝石は自分のものだと考えるだろう。一方、状態B2においては、太郎も花子も、今自分が持っている宝石は自分の宝石と全く同じだが自分の宝石ではないと考えるだろう。日常語ではこのように言うが、この言い方には欠点がある。それは、状態B2が状態B1や状態Aと異なるかのように人を錯覚させる点だ。異なるのは歴史なのであって状態ではないのだ。AもB1もB2もすべて同じ状態だ。従って、全く同じ特徴を持つ二つの宝石を別の宝石だという日常的な言い方は、物の違いを表すための表現技術を用いて、歴史の違いを言い表しているのであって、決して物の違いを言い表しているのではないと解釈しなくてはいけない。このことから、二つの質点のあらゆる特徴が等しくても、それらは別の質点だから、Mは一対一写像だという考えが、全く本末転倒の誤った考えだと分かる。代数学においては、文字によって文中の位置が表される。例えば、∀x,y∈R;(x+y)2=x2+2xy+y2
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