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p176 宇田雄一「古典物理学」
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【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」とは、(x+y)2=x2+2xy+y2という文のxによって表される位置とyによって表される位置にどんな数を代入しても完成文が真命題を表す、という意味だ。従って、たとえxによって表される位置とyによって表される位置に同じ数を書き込む場合であっても、xとyは異なる意味(位置)を表すと考えなくてはいけない。こういう事情があるために、x,yが数を表すのだと誤って解釈した場合に、x=yでもxとyは別なのだ、と言いたい気持ちが残る。質点が等しくても同じではないという誤った考えは、動機においてこれと共通するだろう。この種の誤った考えを「同と等の区別」と名付けておくことにする。今度は、鉛直に立てた薄い板の真上から二つのパチンコ玉を初速度0で自由落下させたとき、板の左右にそれぞれ何個のパチンコ玉が落ちるかに応じて場合分けし、それぞれの場合の確率を計算することについて考えてみよう。二つのパチンコ玉が全く同じ特徴を持つならば、終状態は次の三つだ。○○|,○|○,|○○,二つのパチンコ玉のうちの一つだけに小さな傷が入っている場合には、終状態は次の四つだ。○○|,○|○,○|○,|○○,ところで、実際に板の左側に二つとも落ちる確率と、板の両側に一つずつ落ちる確率と、板の右側に二つとも落ちる確率はどうなるかというと、順に1/4,2/4,1/4となる。1/3,1/3,1/3とはならない。パチンコ玉に小さな傷があってもなくても、こうなる。傷は任意に小さくても良いので、傷の有無が結果に影響を与えないことは当然だと言える。ここでもこの結果をもとにして、二つのパチンコ玉が全く同じ特徴を持つとしても、それらは別のパチンコ玉なので終状態は四つだと主張する人がいるかもしれないが、この主張は誤りだ。各終状態の確率が等しいのではなくて、各歴史の確率が等しいと考えなくてはいけない。二つのパチンコ玉が全く同じであっても、歴史は四つある。
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