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p310 宇田雄一「古典物理学」
このページの上端へ行く ホーム 前のページ 次のページ 宇田雄一について
【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」書では、電磁場を質点の運動から定義するのを止めた。こうして、質点の運動も電磁場もその詳細を直接経験的に確認できそうになくなる。経験的に確認できるものは何かというラインに沿った認識論上の懐疑が、ほぼ基礎未定義語を減らして行く動機になっているが、この辺りから、基礎未定義語を減らす話と経験的に確認できるものは何かという問題とは少しずれてくる。何を基礎未定義語にするかは、認識論的観点からではなく、存在論的観点から決めるべきだ。さて、さらに認識論上の懐疑を進めよう。正真正銘の質点を肉眼で確認できる人などいない。何らかの測定装置を使わなければ、正真正銘の質点の運動を確認することは出来ない。だから、実際に確認するのは、測定装置の表示だ。それ以上のものを確認することは出来ない。測定装置は、何らかの物理法則を利用して作られているから、厳密には、物理法則が正しいかどうかを確かめる以前の段階では、測定装置の表示を確認することによって質点の運動や電磁場の値を確認したことには成らない。それでは、質点の運動や電磁場の値の確認を行うに先立って物理法則の真偽を確認できるかというと、これも出来ない。物理法則を利用した確認は全て直接確認の直接という語に反する。以下確認の直接性という事を押し進める。これは確認の確実性を追求することでもある。直接確認できるのは、せいぜい可視領域の電磁場の大まかな様子と巨視的な物体の身体への接触の程度と温度・化学的性質ぐらいのものだ。すなわち日常経験のレベルだ。それでは、日常経験のレベルなら、身辺の事象を直接確認できるというのは本当だろうか。これも怪しい。なぜなら、日常経験は私たちの体の感覚器官を通して行われるので、直接確認するのは、感覚器官への刺激ではなく、感覚器官が受けた刺激に応じて脳へ送る電気信号だからだ。それでは、感覚器官が脳へ送る電気信号は直接確認できるのか。ここまで来ると、確認が直接なのか間接なのかという問題は、何処までが自分なのかという問題と関係していることに気付く。感覚器官より内側が自分ならば、感覚器官への刺激は自分によって直接確認されている。脳だけが自分ならば、感覚器官への刺激は直接は確認されておらず、脳の受ける電気信号が直接確認される。感覚神経に故障が起きれば、前者で
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