【SEOテキスト】宇田雄一「古典物理学」4-5-3物理的立方格子系,物理的確認手段,「直線」「間隔」「時間」「同時」「直交」といった日常語を、わけが分からぬものと考えると、立方格子系もまだ良く定義されているとは言えない。これらの語は定義されないものの、日常語の中では他の語と比較して最も曖昧さの少ない語とされる。その曖昧でないという感じは、究極的にはそれらの語が物理的確認手段によって担保されていることに由来するだろう。そこでこれから、立方格子系の条件A〜Eを物理的に確認する方法を考える。この方法で立方格子系だと判定された時空座標系を物理的立方格子系と呼ぶことにする。まず、条件Aの確認に用いることが出来るのは、光線の直進性や慣性の法則(力を受けない質点は等速直線運動をすること)や直定規だ。いずれにしても、物理法則を用いての確認だ。直定規は物理法則ではないが、直定規の製造と保存には物理法則が用いられるので、直定規による確認も物理法則を用いた確認だと言える。直定規が質点の集合物であることを考えると、光線の直進性や慣性の法則による確認よりも直定規による確認の方が粗雑だと分かる。条件B1の確認に用いることが出来るのは、ものさし,ディヴァイダー,特定の原子は特定の波長の光しか出さないという法則,光が一定の間隔を往復するのにかかる時間が一定だという法則などだ。このうちで、光の往復を使う方法は、条件Dが成り立っていなければ使えない。条件B2の確認に用いることが出来るのは、B1とほぼ同じだが、光の往復を使う方法は、条件Dが成り立っていなくても使える。条件Cの確認に用いることが出来るのは、光や音があらゆる方向に同じ速さで伝わることだ。音は質点の集合物の振動だから、光を用いた確認よりも音を用いた確認の方が粗雑だ。条件Dの確認に用いることが出来るのは、特定の原子は特定の振動数の光しか出さないという法則や、惑星の公転周期は時間がたっても変化しないことなどだ。条件Eについては、条件Aと条件B2の確認によって既に条件Eは確認済みだと考えることにする。条件Aと条件B2が成り立つ場合には、
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